二人目不妊とは?
原因と治療法SECONDARY INFERTILITY

二人目不妊とは?

一人目を妊娠・出産してから、二人目がなかなか授かれない状態を「二人目不妊」と呼びます。医学的には「続発性不妊症」といい、妊娠経験(流産を含む)があるにもかかわらず、一定期間妊活を続けても妊娠に至らない場合と定義されています。

特に、第一子を自然妊娠で授かった場合は不妊の可能性に気付きにくく、不妊治療に踏み出すのが遅れるケースも少なくありません。一人目が自然妊娠だったとしても、その当時とは身体の状態や年齢、生活環境が変化していることも多く、さまざまな要因が重なって二人目不妊となる可能性があります。

患者様の期待に応えられるきめ細やかな医療を心がけています。また、不妊症・不育症の治療では、治療の過程で生まれる様々な疑問や悩みを気軽に打ち明けられる個別相談も ありますので、納得と安心の基に治療を進めていただけます。

二人目不妊の原因

加齢・年齢の上昇

年齢とともに、妊孕性(妊娠のしやすさ)は徐々に低下していきます。

第二子の妊活を始める頃には第一子の妊娠・出産時よりも年齢を重ねており、加齢の影響を受けやすくなっています。卵子の質や数の低下、婦人科系疾患の発症などが妊娠の妨げとなり、妊娠しにくくなるケースが増加するのです。

特に第一子の出産年齢が高かった場合は、第二子の妊娠がより難しくなる可能性があります。

加齢による不妊は、女性だけでなく男性にも関係があります。男性も年齢とともに精子の数や質が低下するため、夫婦ともに早めの対策を講じることが大切です。

産後の体調・ホルモンバランスの変化

第一子の出産を経て、身体やホルモンバランスは変化しています。また、産後は育児で体力が奪われ睡眠不足にもなりがちです。自律神経が乱れてホルモンバランスが崩れると、不妊原因となる場合があります。

育児による生活の変化

第一子の誕生により、夫婦の生活スタイルや家庭環境も変化していきます。育児・家事・仕事などによるストレスや疲労、夫婦間のすれ違いによって、性交渉の機会が減少することも珍しくありません。

一方で妊娠可能なタイミングは限られているため、夫婦生活が持てないと自然妊娠の確率は低下します。こうした育児による生活の変化が、二人目不妊につながることもあります。

心理的な影響

「二人目はまだ?」「一人っ子はかわいそう」といった周りからの何気ない一言に、プレッシャーやストレスを抱える方は少なくありません。また「一度妊娠したのに、なぜ今回はできないのか」と、二人目だからこその焦りや不安もあるでしょう。

このような心理的な影響によって過度なストレスがかかると、不妊につながる可能性もあります。

二人目不妊も不妊治療を始めるべき?

「二人目不妊かも」と思ったら、不妊治療を検討してみましょう。特に次に該当する方は早めにクリニックを受診し、治療に取り組むことが推奨されます。

  • 一人目を不妊治療で妊娠した
  • 自然妊娠だが時間を要した
  • 女性の年齢が35歳以上である
  • 婦人科系の疾患がある
  • 精液検査の所見が不良であった

上記の項目は不妊要因に大きく関わるため、自力の妊活では時間がかかったり、妊娠する可能性が低かったりする場合があります。特に年齢による妊娠率の低下は、どうしても避けられません。できるだけ妊娠可能性が高いうちに、不妊治療に取り組むことをおすすめします。

二人目の不妊治療はいつから始められる?

不妊症は、一般的に「夫婦生活を1年以上しても妊娠しない場合」と定義されています。しかし、二人目不妊の年齢や身体の状態によっては必ずしも1年を待つ必要はありません。「二人目が欲しい」と思ったタイミングで不妊治療を始めても問題ありませんので、まずは検査を受けることをおすすめします。

ただし、産後すぐのタイミングでは、母体の身体はまだ回復途中にあります。特に帝王切開で出産した場合は、子宮の回復のために1年以上期間を空けることが推奨されることがあります。加えて、授乳中はプロラクチンというホルモンの影響で排卵が抑制されることもあり、生理周期が不安定になる可能性もあるため、体調が整ったうえで、医師と相談しながら治療の開始時期を決めるようにしましょう。

また、一人目を体外受精で授かった場合には、凍結胚が残っているかどうかも重要な要素です。凍結胚がある場合は、治療ステップが異なるため、出産の希望時期などを見据えた上で通院再開のタイミングを考える必要があります。なお、凍結胚の保存には定期的な更新手続きが必要なので、期限を過ぎてしまわないようご注意ください。

二人目の不妊治療の注意点

二人目の不妊治療では、一人目の妊娠・出産時とは身体の状態や生活環境が大きく異なることも加味して、いくつかの注意点があります。 以下のような点を確認しておきましょう。

育児・家事・仕事と不妊治療の両立

二人目の不妊治療は家事・仕事に育児が加わるため、不妊治療との両立が難しくなります。そのため、パートナーや家族、周囲の理解と協力が欠かせません。まずは夫婦で話し合い、治療に向けた環境づくりを行いましょう。

不妊治療の身体的な負担は女性に集中しやすいため、家事・育児はパートナーが積極的に引き受けたり、必要であれば家事代行を検討したりする必要があるかもしれません。

治療前に、家事・育児・仕事の役割分担について夫婦間でよく話し合いをしておくことが、ストレスの軽減や継続的な治療のためにも重要です。

子どもの預け先の確保

まだ子どもが幼い場合は、不妊治療の検査や治療を受けている間、子どもを預ける必要が出てきます。子ども連れで受診ができるクリニックもありますが、手術などの処置では同伴が難しく、いずれも預け先が必要になるでしょう。

一時保育を行っている保育園や託児所の利用を検討し、事前に利用条件や空き状況を確認しておきましょう。近くに頼れる家族や親族がいる場合は、協力をお願いするのも一つの方法です。

子連れでも通院しやすいクリニック選び

二人目不妊の場合、クリニック選びでは「通いやすさ」に加えて、「子どもを連れて受診できるかどうか」も重要なポイントになります。

不妊治療専門のクリニックの中には、一人目の不妊で通院している方への配慮から、子ども連れでの来院を制限しているところもあります。小さなお子さまがいる場合は、事前に子連れ受診の可否をクリニックに確認しておきましょう。

神奈川レディースクリニックでは、お子さま用のキッズルームをご用意しています。採卵や胚移植など一部の処置ではお子さまの同伴ができませんが、通常の診察についてはお子さま連れでも受診が可能です。二人目不妊でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修医師紹介

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。

経歴

東京大学薬学部薬学科卒
平成17年東京医科歯科大学(現、東京科学大学)卒業
平成17年~19年・27年~29年東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科
平成19年~22年・29年~令和2年獨協医科大学付属埼玉医療センター
産婦人科・リプロダクションセンター  講師
平成22年国立成育医療研究センター 不妊診療科
平成22年~27年国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所
東京大学大学院医学系研究科分子生物学分野 :医学博士学位取得
令和2年~六本木レディースクリニック 神奈川レディースクリニック 勤務
令和7年神奈川レディースクリニック院長就任

資格・所属学会

  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会 指導医
  • 日本生殖医学会 専門医
  • 日本生殖医学会 指導医
  • 日本性科学会 理事
  • 日本性科学会認定 セックスカウンセラー
  • 日本受精着床学会
  • 日本人類遺伝学会
  • 日本がん・生殖医療学会
  • 日本生殖心理学会
  • 日本生殖医療支援システム研究会
  • 早稲田大学非常勤講師
  • Wellness AP Science 株式会社 医療顧問