一般不妊検査・治療EXAMINATION

ひとり一人に、最適な治療を行うために。

不妊治療では、まず不妊症の原因の追究と
妊娠に耐えられる身体かどうかを見極めるための
様々な検査を行っていきます。
しかし不妊の原因は多岐にわたり、
明確に原因が突き止められない原因不明不妊が非常に多いのが現状です。

一般的に不妊検査が必要とされる方は?

  • 1年以上、避妊をしていないが妊娠しないという方
  • 30歳以上の未婚女性で、結婚後、妊娠を希望されている方
  • 年齢に関わらず、ご自身の妊娠できる可能性を知っておきたい方

※現在、当クリニックでは 未婚女性のブライダルチェック等での受診はお受けしておりません。

不妊症の主な検査

検査には月経周期に合わせて行う検査とどの時期でも可能な検査があります。治療段階に従って行っていく検査もあります。

一般不妊症検査の流れ

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*感染症採血について
当院では、初診時に感染症(B型肝炎・C型肝炎・梅毒)の採血をさせて頂いております。
ご主人は任意になります。  他院でのデータをお持ちの方はご持参ください。

風疹抗体価(HI法)が16倍以下の方はワクチンの接種を推奨しています。
当院では抗体価を調べることができます。
ワクチン接種が必要な場合は他院での接種をお願いします。接種後は2ヶ月の避妊が必要になります。

基礎体温

基礎体温の測定は卵巣の働きを知るための最も重要な手段です。

基礎体温表

基礎体温の正しいはかり方

  1. 基礎体温は脇の下で測定する一般の体温計ではなく、
    舌の付け根で測る婦人体温計で小数点以下2桁までをグラフにします。

  2. 目が覚めたら起き上がる前にお布団の中で動かず測ります。
    *最低連続した 4 時間以上の睡眠がとれていれば測定できます。

基礎体温の正しいはかり方

超音波検査

超音波の器具を腟内に挿入して調べる検査です。
子宮の大きさ、子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮体部のポリープ・子宮奇形の有無、子宮内膜の厚さ等を調べます。卵巣の大きさ、卵巣嚢腫・卵管水腫の有無、卵胞の大きさや数を調べます。

*生理中でもエコー検査はあります。医師の指示通りにご来院ください。
*排卵日付近では尿検査をお願いする場合もあります。

内診

子宮頸がん検診

子宮頸部のがんの有無を調べる検査です。年1回の検診を推奨しています。
専用の綿棒で子宮頸部をこすり、細胞を採取します。ほとんど痛みは無く、短時間で済みます。
当院は各自治体から交付される子宮頸がん検診クーポンの対象外病院になります。
自治体からのクーポンが届いている方で、クーポン使用希望の方は対象病院にて検査をお願いします。

クラミジア検査

性感染症であるクラミジア感染の有無を調べる検査です。
子宮頸部を専用の綿棒でこすり、分泌物を採取します。ほとんど痛みは無く、短時間で済みます。
クラミジア感染は、子宮や卵管の炎症や癒着を引き起こし、不妊や子宮外妊娠の原因になります。検査結果が陽性の場合は、ご夫婦での内服治療が必要になります。
*必要に応じて採血で検査する場合もあります。

培養検査

おりものの異常や外陰部の痒みなどの症状があった際に検査を行い、原因究明します。

子宮頸がん検診

血中ホルモン検査

単位基礎値の測定時期卵胞期排卵期黄体期
FSH(卵胞刺激ホルモン)(m|U/ml)月経3~5日目3.5-12.54.7-21.51.7-7.7
LH(黄体化ホルモン)(m|U/ml)2.4-12.614.0-95.61.0-11.4
E2(卵胞ホルモン)(pg/ml)25-19566-41140-261
P4(黄体ホルモン)(ng/ml)黄体期(高温期)0.2-1.50.8-3.01.7-27.0

FSH(卵胞刺激ホルモン) :卵巣での卵胞発育を促すホルモン

月経3-5日目の基礎値3-10m|U/mlが理想といわれています。
15-20m|U/ml以上は卵巣機能の低下や疲労が考えられ、卵巣に負担をなるべくかけないような治療を選択します。

LH(黄体形成ホルモン) :卵巣での卵胞成熟および排卵を促し、排卵後の黄体を刺激するホルモン

月経3-5日目の基礎値10m|U/ml以下が理想。また、LH:FSH=1:1が理想といわれています。
FSHが正常でLHが高値の場合は多嚢胞性卵巣(PCO)が考えられます。

E2(卵胞ホルモン) :卵胞の成熟の指標となるホルモン。子宮内膜を厚くし頸管粘液を増やすホルモン

月経3-5日目の基礎値70pg/ml以下が理想といわれています。
70pg/ml以上の場合は前周期に排卵できずに残った卵胞の存在や、高FSHにより早めに成長を開始してしまった卵胞の存在を疑います。

P4(黄体ホルモン) :排卵後の黄体から生産され、高温期を維持し、着床に関与するホルモン

黄体中期17 ng/ml以上が理想といわれています。
10 ng/ml未満は黄体機能不全が考えられます。

血中ホルモン検査

PRL(プロラクチン):乳腺の発達と乳汁分泌に関与するホルモン

月経3-5日目の基礎値16ng/ml以下が理想といわれています。
高値の場合には、卵胞発育や着床に影響をあたえることもあります。

AMH(抗ミュラー管ホルモン):卵巣内に今後排卵される卵胞がどの程度残っているかを示すホルモン

年齢とともにAMH値は減少する傾向にあり、「卵巣年齢」の指標に使われます。
*あくまでも残存する卵の数の目安であり、卵の質を示すものではありません。卵子の質の良さや順調に育つかどうかは年齢に比例します。
・検査は月経周期に関係なく採血することができます。(予約不要)

各年齢別のAMH 中央値 (ng/ml)

年齢282930313233343536
AMH値4.274.144.023.853.543.323.142.622.50
37383940414243444546以上
2.271.901.801.471.301.000.720.660.410.30

甲状腺機能検査(TSH・FT3・FT4)

甲状腺の機能の値は、高くても低くても妊娠の妨げになるといわれています。甲状腺機能低下の場合は流産につながるといわれています。
異常が見つかった場合は専門医へ紹介する場合もあります。

*血中ホルモン検査の検査項目や採血時期に関しては個人差があります。
患者様に合わせて医師が選択させていただきます。

フーナーテスト

排卵前、性交渉後24時間以内に受診していただきます。
右図の②③より子宮頸管粘液を採取し、粘液内の精子の数や運動性を調べる検査です。

【結果の見方】

  • 一視野の元気に動いている精子の数 / 一視野の全精子数
  • 精子の前進性の有無

*同じ月に2回フーナーテストをした場合、2回目は自費になります。

フーナーテスト

子宮卵管造影

子宮の入り口から細い管を挿入し、子宮内に造影剤を注入してレントゲン撮影を行う検査です。
子宮の形、大きさ、卵管の通り具合を調べるのと同時に、卵管の通過性が改善され、妊娠率が向上するといわれています。

医師より検査の指示が出た際に同意書をお渡しします。検査の詳細・予約方法は同意書をご参照ください

正常な卵管造影像 (左:造影剤注入直後 右:造影剤注入8分後)
正常な卵管造影像 (左:造影剤注入直後 右:造影剤注入8分後)

*当院では痛みが少ないとされる水溶性の造影剤を使用しております。

【注意事項】
・クラミジア抗原検査にて陽性の方、甲状腺機能異常のある方、重度の喘息の方、ヨードアレルギーの方は、この検査を受けられません。
・生理開始後検査当日までの避妊が必要です。

卵管通気検査、卵管通水検査

子宮から卵管まで、炭酸ガスや液体を通して卵管が詰まっていないかを調べる検査です。
卵管を刺激することで妊娠しやすくなるといわれています。

  • 検査時期:生理終了後~排卵日前
  • 検査の注意事項:生理開始後検査当日までの避妊が必要
  • クラミジア抗原検査にて陽性の方はこの検査を受けられません。
卵管通気検査、卵管通水検査

精液検査

  • 検査時期:生理中や高温期など妊娠に関係ない時期
  • 禁欲日数:2-3日
  • 予約制ではありません。医師より指示が出た際に検査容器をお渡しします。
    提出方法は検査容器に付属している説明用紙をご参照ください。
  • 検査結果は翌日以降診察時にお伝えします。

精液所見の基準値

項目下限基準値 (WHO 2021年)
精液量精液の総量1.4m| 以上
精子濃度精液1m|あたりの精子数1600万/m| 以上
精子運動率動いている精子の割合42% 以上
正常形態率正常な精子の割合4% 以上
総精子数精子の総数3900万 以上

その他の不妊症検査

*必要に応じての検査になります。気になる方は医師へご相談下さい

  • 月経血培養
  • 子宮頸管粘液
  • 淋菌検査
  • 子宮鏡検査
  • 子宮内膜検査
  • 内分泌負荷テスト
  • その他血液検査
  • 精子のDNA断片化(DFI)検査
  • 精液中酸化還元電位(ORP)検査
  • 抗精子抗体検査
  • 染色体検査

FT(卵管鏡下卵管形成術)について

FT(Falloposcopic Tuboplasty)とは、不妊治療のうち、卵管が狭くなったり詰まったりして、卵子や精子が卵管を通ることができない「卵管性不妊症」の患者さんを対象にした内視鏡治療のひとつです。カテーテルと呼ばれる細い管を膣から子宮、そして卵管入口まで挿入し、カテーテルに内蔵されたバルーンを卵管内で押し進めることで詰まった卵管を拡げる治療法です。
メスなどによる切開を行うことなくカテーテルを挿入するため身体への負担が少ないのはもちろん、治療時間も30分程なので日帰りでの治療が可能です。また、治療と同時に内視鏡(卵管鏡)で卵管内の状態を確認することもできます。

この治療は保険が適応されています。

FTの特徴

  • 日帰りでの治療が可能
  • 基本的に1回の治療で済むことが多い
  • 身体への負担が少ない
  • タイミング・人工授精での妊娠率が高まる(ARTに進まずに妊娠できる可能施が高まる)
  • 健康保険が適用されている

手術の流れ

  1. 治療器具は、内視鏡(卵管鏡)と、それを取り囲むようにある、風船(バルーン)を内蔵した細い管(カテーテル)です。

    卵管通気検査、卵管通水検査
  2. カテーテルを膣から子宮へと挿入し、卵管入口に近づけます。

    卵管通気検査、卵管通水検査
  3. 卵管内で、カテーテルに内蔵されたバルーンを押し進めます。

    卵管通気検査、卵管通水検査
  4. バルーンを進めることにより、狭くなったり詰まったりしている部分を拡げます。

    卵管通気検査、卵管通水検査
  5. 最後に、通過障害が改善したことを卵管鏡で確認します。

    卵管通気検査、卵管通水検査

手術費用 ※保険適用

価格
片側約14万円
両側約28万円
(健康保険3割負担の場合)

高額療養費制度の対象になります。

※高額療養費制度について

高額療養費制度において自己負担分の上限を超えるお支払金額が免除もしくは一部 軽減されます。

マイナ保険証の方

月初めの受付時にマイナ保険証を必ずご提示ください。事前の手続きなく高額療養費 制度を利用できます。

マイナ保険証を利用しない方

限度額適用認定証が必要になりますので、事前に交付申請を行ってください。 ※自己負担限度額は、個人の所得に応じて異なります。 ※保険診療分にのみ適用、お会計後の適用はできません。 FT当日までに認定証のご提示がなかった場合は従来通り窓口にて、自己負担分の 治療費を全額お支払いいただきます。その後、療養費の申請をしていただきますと、自己負担限度額との差額が後日ご加入の医療保険の保険者より支給されます。

詳しくは、受付スタッフまでお問い合わせください。

不妊症検査に関するよくある質問

一般不妊検査にかかる費用はどのくらいですか?

検査内容によって異なりますが、保険適用内のものは数千円~、自費の場合は1万円~3万円程度になることが一般的です。詳細はお問い合わせください。
費用不妊治療の費用・保険適用の詳細はこちら >

一般不妊検査はいつ受けるべきですか?

妊娠を希望して1年以上経過しても妊娠に至らない場合や、年齢が35歳以上の場合は半年を目安に一般不妊検査を受けることをおすすめします。

一般不妊検査で異常が見つかった場合はどうなりますか?

検査結果に基づき、タイミング療法や人工授精、必要に応じて体外受精など、患者様に最適な治療をご提案します。

監修医師紹介

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。

経歴

東京大学薬学部薬学科卒
平成17年東京医科歯科大学(現、東京科学大学)卒業
平成17年~19年・27年~29年東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科
平成19年~22年・29年~令和2年獨協医科大学付属埼玉医療センター
産婦人科・リプロダクションセンター  講師
平成22年国立成育医療研究センター 不妊診療科
平成22年~27年国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所
東京大学大学院医学系研究科分子生物学分野 :医学博士学位取得
令和2年~六本木レディースクリニック 神奈川レディースクリニック 勤務
令和7年神奈川レディースクリニック院長就任

資格・所属学会

  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会 指導医
  • 日本生殖医学会 専門医
  • 日本生殖医学会 指導医
  • 日本性科学会 理事
  • 日本性科学会認定 セックスカウンセラー
  • 日本受精着床学会
  • 日本人類遺伝学会
  • 日本がん・生殖医療学会
  • 日本生殖心理学会
  • 日本生殖医療支援システム研究会
  • 早稲田大学非常勤講師
  • Wellness AP Science 株式会社 医療顧問

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