胚移植後の過ごし方と注意点
現状、胚移植後の過ごし方に関する明確なエビデンスは限られています。ただし、一般的に避けた方がよいとされる行動や食事などはあります。 ここでは、そうした注意したいポイントについてご紹介します。
運動・仕事
ヨガやストレッチなどの軽い運動や、日常的なお仕事は、胚移植後も基本的に問題ないとされています。むしろ、一日中ベッドで過ごすような過度な安静は、現在ではあまり推奨されていません。適度な運動は、妊娠しやすい身体づくりにも役立つと考えられています。
ただし、胚移植後は卵巣が腫れていることもあるため、筋トレやダンスなど身体に大きな負担のかかる激しい運動は控えるようにしましょう。
食事(食べていいもの・いけないもの)
不妊治療中に推奨される代表的な栄養素には、葉酸、ビタミンD、カルシウム、亜鉛などがあります。
ビタミンDは、魚介類(イワシ、サンマ、サケなど)や、きのこ類(干し椎茸や乾燥キクラゲ)に多く含まれています。普段の食生活で十分に摂るのが難しい場合は、サプリメントを活用するのも1つの方法です。
一方で、過度なアルコールやカフェインの摂取は控えるべきとされています。また、身体を冷やす飲み物も一般的にはあまりおすすめされていません。
入浴・サウナ
胚移植の当日は入浴はせず、シャワーのみとなります。公共の温泉も同じく利用は控えましょう。胚移植で出血がある場合、感染症のリスクもあるからです。
翌日からは、医師の指示がない限りは通常通り入浴いただいて問題ありません。熱い湯船の長時間の入浴は推奨しませんが、身体を温める意味でも適度な入浴はおすすめです。
サウナについては医師の指示に従うとともに、施設側でルールを定めているケースがありますので、そちらも参照してください。
外出・旅行
胚移植後の外出や旅行に関しては、基本的に大きな制限はありません。
ただし、胚移植後に妊娠が成立していれば妊娠初期にあたるため、旅行の計画がある場合は事前に医師へ相談することをおすすめします。
特に、飛行機を使った長距離の移動を伴う海外旅行などは、状況によっては控えた方がよいとされることもあります。
飲酒・喫煙
胚移植後に限らず、不妊治療中は禁酒・禁煙が基本です。
アルコールの過剰摂取は妊娠率の低下や流産リスクの増加につながる可能性があり、喫煙に関しては、本人だけでなく受動喫煙も着床障害の要因となり得ます。そのため、ご夫婦ともに禁煙することが強く推奨されます。
性交渉
胚移植直後の性交渉は、控えるのが望ましいとされています。明確なエビデンスはまだありません。
移植後数日間が着床期となるため、この時期の過度な刺激が子宮収縮につながるため避けた方がよいでしょう。具体的な日数等については担当医にご相談ください。
神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長
山本 篤 医師
神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。