体外受精は出産予定日がわかる?

体外受精の胚移植後、
いつも通り過ごしてもいい?

妊娠期間は一般的に40週間(280日)といわれますが、実際の妊娠期間や出産予定日には個人差があり、多少のずれが生じることも珍しくありません。しかし、体外受精では受精した日が明確なため、自然妊娠に比べるとより正確に出産予定日を算出できるとされています。
産後の予定やライフプランを立てるうえでも、ご夫婦で出産予定日を正しく把握しておくことは大切です。このページでは、体外受精における出産予定日の算出方法や決め方について解説します。

体外受精の出産予定日の決め方

体外受精では、採卵日や胚移植日の情報をもとに受精日(排卵日)を特定します。特定された排卵日を妊娠2週0日として起算し、出産予定日を算出するのが一般的です。

ただし、凍結胚移植のように胚移植が採卵とは別周期に行われる場合は、移植された胚の発育段階(培養日数)を考慮して排卵日を特定します。
具体的には、4細胞胚の場合は移植日の2日前、8細胞胚では3日前、胚盤胞の場合は5日前を排卵日として計算します。

このようにして特定された排卵日を妊娠2週0日と数え、そこから出産予定日(280日後)を決めることになります。

出産予定日計算の例

実際に、体外受精で胚盤胞移植をしたモデルケースで、出産予定日を計算してみます。

【モデルケース】

  • 胚移植の段階:胚盤胞(培養日数5日)
  • 胚移植日:2025年9月10日
  • 排卵日:2025年9月5日
    ※受精後5日目の胚であるため、移植日の 5日前を「排卵日」として計算

排卵日(2025年9月5日)を妊娠2週0日とし、そこから38週(266日)を加えて出産予定日を算出します。

【計算式】

2025年9月5日(妊娠2週)+266日(残り38週)
=2026年5月29日

つまり、2025年9月10日(水)に胚盤胞移植をしたケースの出産予定日は、2026年5月29日(金)となります。

自然妊娠との違い

自然妊娠の場合は排卵日の特定が難しいため、最後の月経開始日を0週0日として妊娠週数を数えます。月経開始日から起算して、そこから280日を加えることで出産予定日の計算が可能です。

体外受精と異なり、自然妊娠の場合は排卵日が明確でないこと、また基礎体温や月経周期などの情報が不十分な場合もあります。そのため、この算出方法においては、出産予定日の誤差が出やすいとされています。

ただし体外受精の場合でも胎児の成長は個人差があるため、多少のずれが生じます。最終的には超音波検査で医師がより正確な出産予定日を確定します。

出産予定日の決め方のパターン

妊娠中期に差しかかると、胎動などの影響で胎児のサイズの測定に誤差が生じやすくなるため、妊娠初期までに正確な予定日を決定するのが一般的です。 出産予定日の決め方には、大きく以下の3つのパターンがあります。

最後の月経開始日から計算する場合

最終月経開始日から計算する方法は、自然妊娠の場合に多く用いられます。最後の月経開始日を妊娠0週0日として起算し、280日後を出産予定日として算出します。

ただし、月経周期が28日周期である前提で計算されるため、実際の月経周期に合わせて調整する必要があります。また、排卵のタイミングが変わりやすい場合もあるため、実際の妊娠週数との誤差の考慮が必要です。

排卵日から計算する場合

排卵日から計算する方法は、体外受精や不妊治療の場合に多く用いられます。自然妊娠と異なり、胚移植日や人工授精の実施日などから排卵日を特定できるためです。
排卵日を妊娠2週0日と起算し、そこから266日後を出産予定日として算出します。

月経開始日を基準とする方法よりも正確性はありますが、胎児の成長度合いは一人ひとり違うため、多少のずれは生じます。

超音波検査値で予測する場合

妊娠8〜10週では、超音波検査で頭臀長(頭からお尻までの長さ)を測定することで、より正確な出産予定日を算出できます。実際の妊娠週数と最もずれがなく、正確性の高い算出方法です。そのため、体外受精でも自然妊娠でも、最終的には医師の超音波検査でより正確な出産予定日に補正されます。

受精後胎齢と月経後胎齢の違い

妊娠週数とは、妊娠期間を表す単位(○週○日)のことです。出産予定日を計算する前に、現在の妊娠週数を把握する必要があります。妊娠週数を把握する際には、受精後胎齢または月経後胎齢のいずれかで計算します。

受精後胎齢では、受精日を起点に胎児の実際の成長日数をカウントします。一方、月経後胎齢では最終月経開始日を基準とした妊娠週数(医学的な妊娠週数)を用います。

出産予定日からずれることはある?

出産予定日は多くの場合、妊娠期間40週間(280日)を基準に考えられます。
しかし実際は、予定日ちょうどに生まれてくるケースは少なく、多くは37〜41週の間に出産を迎えます。
出産予定日はあくまで目安として考えましょう。

出産予定日に関するよくある質問

妊娠週数が37週0日〜41週6日までの間に出産を迎える場合は「正期産」とされ、一般的には問題のない出産時期とされています。一方で、この期間よりも早く生まれた場合は「早産」、遅れた場合は「過期産」となり、母体や胎児にさまざまなリスクを伴うことがあります。

早産は妊娠22週0日〜36週6日までの出産を指し、胎児の未発達・呼吸障害や感染症などのリスクが高くなります。過期産は、妊娠42週0日以降の出産を指し、胎児の巨大化・胎盤機能の低下などにより、分娩時のトラブルや母体への負担が増す恐れがあります。

これらを防ぐためにも、妊娠前から体調を整えておくことに加え、妊娠中も無理のない生活を心がけ、適度な運動などで子宮収縮を促すような習慣を意識することが大切です。

体外受精の出産予定日は、排卵日を特定できることから正確な予定日を算出できるとされています。また、その後の超音波検査では胎児の大きさを測定し、妊娠週数に応じた成長ができているかを確認することが重要になります。出産予定日が大きく変わることはあまりなく、必要に応じて微調整される場合もありますが、予定日にこだわるよりも、赤ちゃんが週数通りに発育しているかどうかがより重要とされています。

そのため、決定された予定日から多少週数ずれることは珍しいことではありません。

監修医師紹介

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。

経歴

東京大学薬学部薬学科卒
平成17年東京医科歯科大学(現、東京科学大学)卒業
平成17年~19年・27年~29年東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科
平成19年~22年・29年~令和2年獨協医科大学付属埼玉医療センター
産婦人科・リプロダクションセンター  講師
平成22年国立成育医療研究センター 不妊診療科
平成22年~27年国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所
東京大学大学院医学系研究科分子生物学分野 :医学博士学位取得
令和2年~六本木レディースクリニック 神奈川レディースクリニック 勤務
令和7年神奈川レディースクリニック院長就任

資格・所属学会

  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会 指導医
  • 日本生殖医学会 専門医
  • 日本生殖医学会 指導医
  • 日本性科学会 理事
  • 日本性科学会認定 セックスカウンセラー
  • 日本受精着床学会
  • 日本人類遺伝学会
  • 日本がん・生殖医療学会
  • 日本生殖心理学会
  • 日本生殖医療支援システム研究会
  • 早稲田大学非常勤講師
  • Wellness AP Science 株式会社 医療顧問

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