どんな時に痛みを感じる可能性がある?
不妊検査(初期検査)
体外受精に限らず、不妊治療を開始する際には不妊原因や身体の状態を調べるため、最初に様々な検査を行います。主に超音波検査や血中ホルモン検査、卵管造影検査などです。
その中でも卵管造影検査は、個人差がありますが痛みを感じやすいとされています。細い管を子宮の入り口から挿入し、子宮と卵管に造影剤を注入してレントゲン撮影を行う検査です。
管を入れる際や造影剤を注入する際に、月経痛のような痛みを感じる方がいらっしゃいます。
当院では痛みが少ないとされる水溶性の造影剤を使用し、痛みを軽減しています。
採血・注射
体外受精では採血や注射をおこなうため、その痛みがあります。
具体的には卵胞の成長を確認するためのホルモン検査で、何度か採血が必要になります。
また、より多くの卵子を採卵するため、排卵誘発剤を使用して卵子を育てます。排卵誘発の方法によって多少異なりますが、皮下注射と筋肉注射の2種類の注射を受けることになります。
経膣超音波検査
体外受精では、卵胞の大きさや個数を調べるために経膣超音波検査を行います。
膣から超音波の機器を挿入しますが、違和感がある程度で痛みは比較的少ないとされています。ただし、子宮内膜症を発症している方や卵巣の位置が見えづらい場合などは、痛みを感じることがあります。
採卵
採卵はクリニックによって無麻酔で行われる場合があります。その場合は、卵巣に針を刺して卵子を吸引する際に痛みを感じます。採取する卵子の数が多いと時間もかかり、痛みも感じやすいといえます。
耐えられないほどの強い痛みではないとされていますが、痛みに弱い方は、麻酔を使用するクリニックを検討しましょう。
なお、当院では局所麻酔または全身麻酔を使用して採卵を行っています。特に全身麻酔の場合は、眠っている間に採卵が終わるため痛みはほとんど感じません。
胚移植
胚移植は基本的に麻酔を使わずに行われる、痛みの少ない処置です。
メスや注射を使う外科的な手術ではなく、柔らかいカテーテルを挿入し、受精卵(胚)を慎重に移植します。ただし、挿入時に多少の痛みを感じる方もいるため、個人差があります。
その他の痛み
体外受精は細心の注意を払って治療が行われていますが、副作用のリスクをゼロにすることはできません。
例えば、注射部位の腫れや赤み、アレルギー反応、感染、腹腔内出血、腸管損傷などです。これらの副作用に伴い、痛みを感じることがあります。
中でも注意したいのが、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)です。排卵誘発剤による卵巣刺激によって起こります。腹痛や膨満感、腰痛などの自覚症状があり、重症化すると入院が必要になることもあります。
また、胚移植後にチクチクとした着床痛が生じることもあります。他にも、異所性妊娠(子宮以外の場所での妊娠)が生じた場合は痛みが生じ、手術を要することがあります。
体外受精の痛みを和らげることはできる?
ここまでご説明した通り、体外受精は多少の痛みが伴い、身体にも負担がかかるタイミングがあります。
しかし、体外受精の中でも負担の少ない治療法を選ぶことも可能です。例えばクロミッド法や自然周期法では自己注射がなく、内服薬のみで済みます。採卵できる数が限られることもありますが、年齢や身体の状態、患者さまの希望によっては、刺激の少ない方法が選択されることもあります。
また、鎮痛剤や麻酔の利用も検討できます。痛みに弱い方は、事前に相談いただくことで鎮痛剤の処方や麻酔の種類などに配慮が可能です。
当院では、患者さまの希望や体質、状況を踏まえたうえで、適切な治療をご提案しています。必要であれば、鎮痛剤や麻酔の投与を行い、なるべく苦痛を取り除く工夫をしています。
また過度な緊張が痛みを増幅させてしまうこともあるため、様子を見ながらお声がけをしています。
神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長
山本 篤 医師
神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。