卵子凍結の費用について採卵から保存までのシミュレーションや助成金について解説

卵子凍結は保険適用されるの?

卵子凍結(未受精卵の凍結・保存)とは採取した卵子を凍結保存しておき、将来妊娠を望んだときにパートナーの精子と受精させる生殖補助医療技術です。いつかは子供を産み育てたいと考えているものの、さまざまな事情で今すぐには難しいという方に利用されています。

卵子凍結は「医学的適応」と「社会的適応」のいずれかに該当する場合におこなわれますが、いずれの場合も公的な健康保険は適用されず、原則として全額自己負担となります。

医学的適応の場合

抗がん剤や放射線治療などによって卵巣機能が低下し、妊娠するための力が失われると予測される場合に、治療前に卵子を凍結して将来の妊娠の可能性を残すことができます。

自治体によっては助成金制度が設けられている場合があります。
※当院(KLC)は現在、神奈川県の「妊孕性温存療法研究促進事業」指定医療機関には未登録のため、医学的適応での卵子凍結はお受けしておりません。

社会的適応の場合

女性がキャリアやライフスタイルなどの社会的要因により現在は妊娠・出産が難しく、将来の妊娠に備えて卵子を凍結する場合です。こちらも自由診療となり、全額自己負担となります。

卵子凍結の流れ

  1. STEP

    排卵誘発

    凍結保存が可能な成熟卵子をできるだけ多く採卵するため、ホルモン剤の内服や注射を投与して卵巣を刺激し、複数の卵子の成熟を促します。排卵誘発をおこなう通院期間は約10日〜2週間続きます。

  2. STEP

    採卵手術

    卵子を採取するための採卵手術は、通常、短時間で終了する日帰り手術です。麻酔を使用した状態でおこなわれ、卵巣に専用の針をさして卵胞液ごと卵子を採取します。

  3. STEP

    凍結保存

    採取された卵子は培養士が検卵をおこない、超急速ガラス化保存法により液体窒素内で凍結します。

  4. STEP

    卵子凍結から融解

    将来妊娠を希望するタイミングで、凍結した卵子を融解する必要があります。融解後、体外受精や顕微授精で受精させ、受精卵が正常に発育すれば胚移植をおこない妊娠を目指します。

卵子凍結にかかる費用(自費診療)

治療項目費用
初期費用
※初診から採卵周期開始までにかかる費用
13,200円~35,500円
含むもの:
  • 診察費
  • 超音波検査代
  • 採卵前に必要な血液検査代
  • 必要時ピル処方

卵子凍結パック

治療項目費用
低刺激卵子凍結パック275,000円
(2回目以降は 220,000円)
高刺激卵子凍結パック330,000円
(2回目以降は 275,000円)
含むもの:
  • 採卵までの診察費
  • ホルモン検査代
  • 超音波検査代
  • 薬剤費
  • 採卵費
治療項目費用
最初の1年間の保管費用(凍結代含む)1個11,000円
2年目以降の凍結保管更新費用10個まで44,000円
11個から66,000円

※費用は予告なく変更される場合があります。

卵子凍結の費用を支払うタイミング

当院の卵子凍結で1年目に係る費用は、初期費用+卵子凍結パック+最初の1年間の保管費用となり、それぞれ下記のタイミングで費用をお支払いいただきます。また、当院はパック料金であるため、採卵の数による料金の変動はありません。

  • 初期費用:初診時や採卵周期までに行う検査・来院に応じて都度お支払い
  • 卵子凍結パック:採卵周期を開始した日
  • 1年間の保管費用:採卵後1回目の診察時

卵子凍結の費用は、クリニックによってそれぞれ異なる料金形態が採用されている場合がほとんどです。

卵子凍結の費用シミュレーション

低刺激卵子凍結パック+卵子を5個凍結保管した場合の費用シミュレーションです。

治療項目費用
初診初期費用13,200円~35,500円
採卵低刺激卵子凍結パック275,000円
(2回目以降は220,000円)
凍結・保管最初の1年間の
保管費用(凍結代含む)
11,000円×5個
=55,000円
1年目にかかるおおまかな総額343,200〜365,500円

卵子凍結の費用の助成金制度

  • 全国の一部自治体では、卵子凍結に係る費用を助成する制度が設けられています。
    ※当院では現時点ではこれらの助成金制度の対象外となります。

東京都では、都内に住む18歳から39歳までの女性を対象に、卵子凍結に係る費用への助成金制度を設けています。採卵準備のための薬剤費や採卵処置、さらに卵子凍結保存にかかる費用など、条件を満たせば最大30万円まで助成を受けられます。 詳しくは「東京都福祉局の公式サイト」をご確認ください。

神奈川県では、医学的適応で卵子凍結をおこなう場合に助成金制度が利用できます。神奈川県内に住む43歳未満の方が対象で、妊孕性温存治療及び温存後生殖補助医療に係る費用の一部を助成しています。子供を産み育てたいと望むがんなどの患者の方が、将来に対して希望を抱きながら治療に専念できるよう助成金制度が設けられています。 詳しくは「神奈川県ホームページ」をご確認ください。

監修医師紹介

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長

山本 篤 医師

神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。

経歴

東京大学薬学部薬学科卒
平成17年東京医科歯科大学(現、東京科学大学)卒業
平成17年~19年・27年~29年東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科
平成19年~22年・29年~令和2年獨協医科大学付属埼玉医療センター
産婦人科・リプロダクションセンター  講師
平成22年国立成育医療研究センター 不妊診療科
平成22年~27年国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所
東京大学大学院医学系研究科分子生物学分野 :医学博士学位取得
令和2年~六本木レディースクリニック 神奈川レディースクリニック 勤務
令和7年神奈川レディースクリニック院長就任

資格・所属学会

  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会 指導医
  • 日本生殖医学会 専門医
  • 日本生殖医学会 指導医
  • 日本性科学会 理事
  • 日本性科学会認定 セックスカウンセラー
  • 日本受精着床学会
  • 日本人類遺伝学会
  • 日本がん・生殖医療学会
  • 日本生殖心理学会
  • 日本生殖医療支援システム研究会
  • 早稲田大学非常勤講師
  • Wellness AP Science 株式会社 医療顧問

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