不妊治療は医療費控除の対象
不妊治療は医療費控除の対象となります。医療費控除とは、治療にかかった費用(10万円以上)を確定申告で申請することで、所得税の負担を軽減できる制度です。
2022年から不妊治療が保険診療となり、さらに医療費控除の制度を利用することで、費用負担を軽減することが可能となりました。
ただし、不妊治療に関連するすべての費用が控除の対象となるわけではありません。申請の際には、対象となる費用を事前に確認することが大切です。
不妊治療は医療費控除の対象となります。医療費控除とは、治療にかかった費用(10万円以上)を確定申告で申請することで、所得税の負担を軽減できる制度です。
2022年から不妊治療が保険診療となり、さらに医療費控除の制度を利用することで、費用負担を軽減することが可能となりました。
ただし、不妊治療に関連するすべての費用が控除の対象となるわけではありません。申請の際には、対象となる費用を事前に確認することが大切です。
医療費控除は、主に以下のような費用が対象です。
主に一般不妊治療(タイミング法・人工授精の)と生殖補助医療の(体外受精・顕微授精)などが対象です。
なお、生殖補助医療が保険診療で受けられるのは43歳未満の女性です。また、女性の年齢に応じて回数制限もあるため事前に確認しておきましょう。
原則として自費診療は医療費控除の対象とならない場合が多いですが、不妊治療は対象となります。保険診療・自費診療に関わらず、医療費控除として申請可能です。
※卵子凍結は医学的適応の場合控除対象となりますが、社会的適応の場合は自費診療となり、控除の対象外となります。
不妊治療や療養にともない必要となる医薬品や漢方薬の費用は、医療費控除の対象です。具体的には、医師が処方する注射の薬剤や内服薬、漢方薬などです。
ただし、健康増進や予防のためのサプリメントは、医療費とみなされません。そのため、不妊治療中に薬局などで購入したビタミン剤や葉酸サプリなどがあっても、対象外となる可能性が高いでしょう。
※当クリニックで購入されたサプリメントも対象外となります。
不妊治療の一環として実施する、あん摩マッサージや鍼灸などの施術の費用は、医療費控除の対象です。
ただし、施術を実施する方は国家資格を有する医療従事者やマッサージ師などに限られます。
不妊治療中、さらに高度な治療を受けるために転院することもあります。治療を引き継いで継続するための医師の紹介料・紹介状の作成費も、医療費控除の対象です。
不妊治療の通院時の電車・バスなどの交通費は、医療費控除の対象です。
対象となるのは、原則公共交通機関を利用した場合の費用に限られます。そのため、自家用車のガソリン代や駐車場、タクシーは対象外です。
以下の不妊治療に関わる費用は、医療費控除の対象に含まれません。
不妊の「治療目的」以外の項目は、原則として医療費控除の対象に含まれません。
ただしタクシー代に関しては、やむを得ない理由で公共交通機関が使えないケースに限り、控除の対象になることがあります。
医療費控除を申請するには、確定申告が必要です。なお、申告の際は、不妊治療にかかった費用だけでなく、世帯で支払った医療費を合算して申請できます。
以下で申告する方法とその流れを紹介します。
まずは、確定申告に必要な以下の書類を準備します。
確定申告書は、国税庁のホームページまたは税務署で入手できます。医療費控除を受ける場合、医療費控除の明細書(医療費のお知らせ)の添付が必要です。
なお、医療費の領収書の添付は不要ですが、費用を入力・計算する際に必要になります。また、申請後5年間は保管義務があります。
申告する際、マイナンバーの記載と本人確認書類の添付が必要です。マイナンバーカードがあれば、それ自体が本人確認書類として使えます。マイナンバーカードがない場合は、番号確認書類(通知カードなど)と身元確認書類(運転免許証など)の両方が必要になります。
必要書類が準備できたら、確定申告書を作成します。手書きで必要事項を記入、または国税庁の確定申告作成コーナーで入力可能です。
確定申告書が完成したら、添付する書類とともに提出します。提出方法は、e-Tax・郵送・窓口の3通りがあります。
e-Taxの場合は自宅のPCやスマートフォンで提出が可能です。郵送・窓口の場合は、管轄の税務署へ送るか、直接窓口へ持参します。
なお、確定申告には期限があるため注意が必要です。
還付金がある場合、内容に不備がなければ、申請後1ヵ月程度で振込が確認できます。
医療費控除の申告は、医療費を支払った翌年の2月16日〜3月15日までに行う必要があります。
ただし厳密には、医療費控除のための「還付申告」の場合、2月16日以前から申告が可能です。また、3月15日以降でも、医療費を支払った翌年の1月1日から5年間は申告できるとされています。
一方で、給与所得以外の収入があり確定申告が必要な場合は、2月16日〜3月15日の期限内に申告しなければなりません。そのため、確定申告を行う人は、医療費控除も同じタイミングで申告するのがベストです。
医療費控除の申告には、次のような注意点があります。
納税者本人だけでは、不妊治療や医療費だけで10万円に満たないことがあります。特に保険会社からの給付金や市区町村の助成金を差し引いた場合、10万円に届かないケースも考えられます。
そのような場合に知っておきたいのが、世帯全体でかかった医療費を合算して申告できるという点です。夫婦や家族それぞれが別々に申請するのではなく、一人分にまとめて申告できます。
また、配偶者だけでなく、生計を同一にする親族の医療費を支払った場合も合算できる場合があります。
医療費控除は、不妊治療を受けた本人またはパートナーのどちらでも申告が可能です。ただし夫婦共働きで収入がある場合は、どちらか所得の高い側が申告した方が、節税効果が高くなるケースがあります。
これは、所得税の還付額が所得税率によって決まるため、収入が高いほど還付される金額も多くなるからです。確定申告書作成コーナーなどを活用し、事前にシミュレーションすると、より確実に有利な選択ができます。
夫婦のどちらが申告するべきか、事前に確認しておきましょう。
申告する医療費が少ない場合は、控除額が少なくなり、節税効果も限定的になります。また、住宅ローン控除やふるさと納税を利用している場合、すでに所得税が軽減されているため、医療費控除の適用による節税効果が小さくなることがあります。
医療費控除を申告しても、必ずしも税負担を大きく軽減できるわけではないことを理解しておきましょう。
保険等の給付金や自治体の助成金を受け取っていても、医療費控除を受けることが可能です。
ただしその際は、支払った医療費の金額から給付金や助成金の金額を差し引く必要があります。差し引いた後の自己負担額が10万円未満になると、医療費控除の対象外となることに注意が必要です。
不妊治療の費用負担を軽減する方法には、医療費控除の申告以外にも、以下のような制度や仕組みがあります。
高額療養費制度は、月のはじめから終わりまでに支払った医療費が上限額を超えた場合、その分の費用を支給してくれる制度です。
また、不妊治療が保険診療になったことに伴い、医療保険で手術給付金を受け取れる可能性があります。現在加入している保険があれば、保障内容を確認してみましょう。
さらに、お住まいの市区町村によって独自の助成金が設けられている場合があります。申請することで不妊治療にかかった医療費に対し、助成金が受け取れる場合があります。これらを活用することで、不妊治療の費用負担が大幅に軽減できるでしょう。
不妊治療にかかる費用について、詳しく知りたい方は下記も併せてご覧ください。
| 東京大学薬学部薬学科卒 |
| 平成17年東京医科歯科大学(現、東京科学大学)卒業 |
| 平成17年~19年・27年~29年東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科 |
| 平成19年~22年・29年~令和2年獨協医科大学付属埼玉医療センター |
| 産婦人科・リプロダクションセンター 講師 |
| 平成22年国立成育医療研究センター 不妊診療科 |
| 平成22年~27年国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所 |
| 東京大学大学院医学系研究科分子生物学分野 :医学博士学位取得 |
| 令和2年~六本木レディースクリニック 神奈川レディースクリニック 勤務 |
| 令和7年神奈川レディースクリニック院長就任 |
神奈川レディースクリニック理事長 兼 院長
山本 篤 医師
神奈川レディースクリニックは、2003年の開院以来「無理のない医療」を大切に、患者様に寄り添ってまいりました。私もその理念を受け継ぎつつ、新しい医療の可能性を取り入れ、ご夫婦の未来を支える医療を実践していきたいと考えています。
妊活や不妊治療は目に見えない体の変化に向き合うため、不安を感じることも少なくありません。私は体の中で起きていることや今後の見通しを丁寧にお伝えし、納得感を持って治療に臨んでいただけるよう心がけています。
経験と最新の知見を融合させ、安心できる場で最先端の治療を提供してまいります。どうぞ安心してご相談ください。